U-23代表で手に入れた「コントロールする力」――遠藤航
絶好調を続ける浦和レッズにおいて欠かせないピースとなった遠藤航。U-23代表から持ち帰った“手土産”
焦ってしまった「過去」
こうしたゲームをコントロールする力というのはそれまであまり意識できていない部分でした。
湘南時代は、チームのプレースタイル的にゲームをコントロールするというよりは、ディフェンダーであっても行けると思えば積極的に攻撃参加をしていくという、つねにアグレッシブなスタイルをとっていましたし、過去に遡ってU-19日本代表のころは、少し押し込まれる時間が長くなったり、失点したりすると「やばいな」と焦ってしまうようなところがありました。
今思えば、キャプテンとしてもっとチームを鼓舞し、周りに声を掛けるべき存在でなければいけなかったのに、自分のことでいっぱいいっぱいになってしまったのです。
かつての僕は、試合中に劣勢に立たされるとどうしても“言い訳”を探してしまうところがありました。U-19日本代表でも「ここまでよくやったよな」とか「まあ、こんなものかもしれない」とか、“負けたときのことを想定して”、予防線を張るようなところがあったのです。後悔するのはいつも試合の後。キャプテンを務めたU-19日本代表のときは、イラク代表に1対2で敗戦をし、ワールドユースへの道が断たれたわけですが、試合終了のホイッスルが鳴った瞬間に、「なんであのとき、もっと気持ちを強くもてなかったのだろう」と悔やみました。
ゲームをコントロールするどころか、自分のことで精一杯だったわけです。でも一方で、そうした悔しい経験をしたことが、いまにつながっていることも実感しています。
もうアジアで負けたくない、この悔しさを生かさなくてはいけない。そういう思いが沸々と湧いてきたのです。
U-23日本代表では、チームメイトと積極的にコミュニケーションをはかり、一体感を作り出したいという思いがありました。いまだから言えることですが、U-19日本代表のころは、そうした一体感がありませんでした。メンバーは自分が所属するチームメイト同士で固まってしまって、深い話ができなかったのです。特に、久保(裕也)や拓(岩波)たちと腹を割って話せることはほとんどなかったように思います。